熊本大学大学院生命科学研究部 分子遺伝学講座

「心不全防ぐRNA」論文を発表、Nat Commun誌に掲載

2021年5月6日

◯「心不全防ぐRNA」に関する論文を発表

心不全の死亡率は、がんの死亡率と変わらず、その予後は悪い。超高齢社会になり心不全患者は急増しており医学的にも社会的にも問題となっております。
我々は、急増している心不全を防ぐ心筋細胞に存在するRNAを見出しました。
このRNAは、心不全の心臓ではその量が減っており、また、心不全の原因となる高血圧や高齢の心臓でもその量が減少してます。そのRNAの心臓での量が減ること自体が、心臓のポンプ作用を低下させ、心不全の発症や増悪の原因となっていることがわかりました。逆に、心不全の心臓にこのRNAを補充すると、心不全が改善することもわかりました。このRNAは人の心筋細胞にも存在しており、心不全の新たな治療法開発の鍵となる発見です。
これまでRNAを医療に直接使用することはあまり注目されてませんでしたが、コロナワクチンで複数のRNAワクチンが成功しており、感染症などの予防に対してのみならず、多くの疾患に対して足りないもの(減っているもの)を補充する治療戦略として、RNAは注目を集めており、欧米で複数の治験がスタートしております。

Sato M, Kadomatsu T, Miyata K, Warren J, Tian Z, Zhu S, Horiguchi H, Makaju A, Bakhtina A, Morinaga J, Sugizaki T, Hirashima K, Yoshinobu K, Imasaka M, Araki M, Komohara Y, Wakayama T, Nakagawa S, Franklin S, Node K, Araki K & Oike Y.
The lncRNA Caren antagonizes heart failure by inactivating DNA damage response and activating mitochondrial biogenesis.
Nat Commun 12, Article number: 2529, 2021

 

・AMEDおよび本学のホームページでも紹介されています。

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